重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(厚生労働省)
70歳代男性が発熱訴え死亡、両腕にはマダニがかんだとみられる跡…「SFTS」発症で(読売新聞オンライン)
香川県は2日、綾歌郡の70歳代の男性がマダニを介して感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で死亡したと発表した。
県内でSFTSで亡くなったのは今年2人目。
男性は6月24日、発熱の症状を訴えて医療機関を受診。両腕にマダニがかんだとみられる痕があり、1日に死亡した。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について。
SFTSは2009年ごろから中国で発生が報告され、2011年に原因ウイルスが特定された、比較的新しい感染症です。
日本では2013年に西日本で発生が報告されました。
SFTSウイルスウイルスを保有するマダニに刺されることで感染し、1~2週間の潜伏期間を経て発症します。
症状は発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主徴とし、時に、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状など。病名の通り血小板減少が特徴で、致命率が10〜30%程度あると言われる怖い病気です。
下表は感染症情報提供サイトの感染症発生動向調査で届出られたSFTS症例の概要(2025年4月30日更新)です。初報告から本年4月末までに1071例の発症報告があり、うち117例が死亡しています。ただ、これは届出後に死亡した症例は含まないため死亡例はもっと多いかもしれません。

つい最近まで発症者は西日本中心で、東日本にはまだいないと言われていましたが、ここ数年は関東地方(東京都、神奈川県)での発症報告もあります。(下図-感染症情報提供サイトより引用)

ただ、推定感染地域の最東端は静岡県のようです。つまり東京都や神奈川県で発生報告された患者は静岡以西で感染したということでしょうか。(下図-感染症情報提供サイトより引用)

とはいえ、今週茨城県でペットのSFTS感染があったことが報道されていました。
飼い犬SFTS感染 茨城県内、ペット2例目(茨城新聞クロスアイ)
茨城県は1日、マダニがウイルスを媒介する人獣共通感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に、県内の飼い犬1匹が感染したと発表した。人への感染は確認されていない。県内のペット感染の確認は2例目で、犬は初めて。県は「県民への感染リスクが高まっている」として、注意喚起している。(以下省略)
つまり関東の草むらに住むマダニの一部はすでにSFTSウイルスを保有していると思われます。
いつ関東が推定感染地域の患者が発生してもおかしくない状況です。
SFTSは発症すると命に関わる可能性のある感染症です。
発症しないためには、このウイルスに感染しないことが大切です。
皆さんの家の近くの草むらに潜むマダニも、その一部はSFTSウイルスを持っていると考えたほうが自然です。
ですので、草むらに分け入る際には、肌を露出しないこと、暑いですが、長袖長ズボンで作業することが大切です。
また屋外に出ることがあるペットがマダニを運んで来ることもあります。散歩から帰ってきたら、体にマダニが付着していないかをよく観察するように心がけましょう。